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​第6課

不定冠詞と部分冠詞

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理解を深めるために

不定冠詞と部分冠詞の使い分けに関する補足

 

A 物質名詞以外にも使われる部分冠詞

部分冠詞は、食べ物や飲み物などの物質名詞以外にも、本文で扱った「勇気」や「苦痛」などの抽象的な概念を表すものや、スポーツ、楽器、その他の習い事に関する名詞にも使われる。

例:Jean a du courage.    

ジャンは勇気があります。

Thomas a de la patience.     

トマは忍耐力があります。

Marine a de l’ambition.         

マリーヌは野心があります。

Pierre fait du tennis.

ピエールはテニスをします。

Sophie joue de la guitare.

ソフィーはギターを弾きます。

Je fais de l’athlétisme.

私は陸上競技をします。

B 量の表現と冠詞

以下のような量を示す表現において、de の後に来る名詞は冠詞をつけない

 

beaucoup de (たくさんの〜)/ assez  de(十分の〜) / trop de (多すぎる〜)/ peu de (ほとんどない〜) / un peu de(少しの〜)

例:Jean  a beaucoup de livres.  

Thomas a trop de livres.  

Pierre a peu de livres

Marc a assez de temps.   

Mathieu a un peu de temps.

Lucas a beaucoup d’amis.

ただし、本来不定冠詞(un, des)をとる名詞は de のあと複数形になり、本来部分冠詞(du, de la)をとる名詞は de のあとで単数形になる。

例:Je mange beaucoup de macarons.  

私はマカロンをたくさん食べます。

(Je mange un macaron / des macarons.)   

   

Je mange beaucoup de pain.   

私はパンをたくさん食べます。 

(Je mange du pain.)

 

J’ai peu d’amis

私はほとんど友達がいません。 

(J’ai des amis.)

J’ai peu d’argent. 

私はほとんどお金がありません。  

(J’ai de l’argent.)

また、不定冠詞をとる名詞については un peu de の代わりに quelques が使われる。

 O J’ai quelques amis français.    

 x J’ai un peu d’amis français.

なお、計量の単位を表す表現とともに用いられる時も上と同じ原則に従い、名詞に冠詞はつけない。

例:un verre de vin 

ワイン1杯   

une bouteille de vin 

ワイン1本

un litre d’eau 

水1リットル    

un kilo de tomates 

トマト1キロ

une tranche de jambon  

ハムひときれ  

un morceau de fromage 

チーズひとかけ 

C 不定冠詞の単数と複数、部分冠詞の使い分け

同じ名詞でも、文脈ごとに、どのようなイメージを持ってそれを捉えているかによって、冠詞が使い分けられる。そしてそのイメージには文化的なものが多く関わっている。

例えば「朝、私はリンゴを食べます」という場合は、

例:Le matin, je mange une pomme.

(不定冠詞・単数) 

というように単数の不定冠詞を使うのが自然である。なぜなら朝食にりんごを食べるとすれば、丸ごと1個食べるのが普通だとフランスでは考えられているからである(なお、フランスのりんごのサイズは一般的に日本のりんごよりかなり小さめである)。

それに対して、「冬に私はリンゴを食べます」という場合は、

例:En hiver, je mange des pommes.

(不定冠詞・複数)

 

というように複数が使われる。冬という長い期間を想定した場合には、リンゴを何個も食べるので単数よりも複数を使う方が自然に感じられるからである。

また、食品に関する不定冠詞と部分冠詞の使い分けを理解するには、フランスの食文化におけるそれぞれの食品の捉え方を知らなければいけない。例えば、日本でチーズは基本的に一口サイズで包まれて売られ、食べられているので、チーズのイメージとしては1個もしくは複数個食べる、つまり不定冠詞で表現することが自然に思える。しかしフランスにおいては、チーズの1個1個はとても1人では食べきれない巨大なものであり、それを小さく切って、全体の1部分のみを食べるのが普通である。よって部分冠詞を使って次のように表現するのが自然とされる。

例:Je mange du fromage. 

私はチーズを食べます。

またパンについても、日本では菓子パンのようなサイズのものを1人1個もしくは複数個食べるというイメージを持つ人がほとんどであるが、フランスにおけるパンのイメージは全く異なり、パン1個は普通1人では食べきれない大きさであり、切り分けて数人で食べるものであると捉えられている。よって、部分冠詞を使って次のように表現とするのが自然とされる。

例:Je mange du pain.

私はパンを食べる。

つまり、ここには狭い意味での文法を超えた文化的な問題が関わっているので、このようにフランスと日本の食の習慣の違いを楽しみながら学ぶことによってこそ冠詞の理解も深まりる。文法の学習は抽象的な規則の無味乾燥な暗記作業ではなく、フランス語を通して、日本語とは違うものの見方・捉え方を経験する面白くスリリングな機会だと考え、楽しみながら学びを進めて欲しい。日本語には冠詞がないので、初めのうちは使い方を間違えることも多いが、間違いを恐れることはない。1つ1つの具体的な間違いの理由を知ることで、日本語とは異なる世界の捉え方があることを感じ取っていってもらいたい。