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理解を深めるために
近接未来と単純未来の使い分け
近接未来と単純未来については、本文106頁で説明した使い分けのほかに、以下のようなニュアンスの違いもある。
近接未来はある未来の行為を行うまでの過程を言い表す。
例:Je vais habiter en France dans 5 ans.
5年後にはフランスに住むつもりです。
これに対して単純未来は、未来の行為や状態そのものを現在との対照において言い表す。
例:J'habiterai en France dans 5 ans.
5年後は、私はフランスに住んでいるでしょう。
ただし、こうしたニュアンスの違いは”文法規則”として覚えるものというよりは、多くの実例に当たるなかで徐々に身についていくものである。まずは以下の例を参照して、少しでもそのニュアンスを感じてほしい。
未来の出来事1 と未来の出来事2 を対照させて話す
近接未来形+単純未来形
例 : En juillet je vais travailler, et en août je me reposerai.
7 月は働くつもりです。
そして8 月は休んでいるでしょう。
仮定(もし…だったら)の話
現在形+単純未来形
例 : S'il fait beau, on sortira.
もし天気が良かったら、外出しましょう。
~のとき…だろう
単純未来形+単純未来形
例 : Quand je serai grand, je serai astronaute.
大きくなったら、宇宙飛行士になっているでしょう。
前未来
近接未来や単純未来のほかに、未来のある時点における完了「~してしまっているだろう」を言い表す前未来がある。作り方は複合過去形や大過去形とほぼ同じで、助動詞(avoir、être)を単純未来にして、本来の動詞の過去分詞と組み合わせる。助動詞(avoir、être)の選択や、êtreを用いた場合に生じる主語と過去分詞の性数一致など、基本的な考え方は変わらない。
例:Quand tu auras fini tes devoirs, tu pourras regarder la télévision.
宿題が終わったらテレビを観ていいですよ。
Je te téléphonerai quand je serai arrivé.
着いたら電話するよ。
条件法過去
この課では条件法現在を学んだが、条件法には過去時制もある。
A 条件法過去形の作り方
条件法過去形は、助動詞(avoir、être)を条件法現在形で活用させ、本来の動詞の過去分詞と組み合わせて作る。助動詞(avoir、être)の選択や、êtreを用いた場合の主語と過去分詞の性数一致などは、他の複合時制の場合と同じである。
B 条件法過去の用法:過去の非現実の状況の仮定文
現在の非現実の状況を言うための構文は「Si+半過去形、条件法現在形」だが、過去の非現実の状況を言うためには「Si+大過去形、条件法過去形」という構文を使う。
例:Si j’étais libre, je partirais en vacances.
もし暇があればヴァカンスに行くことだろうに。
(実際には暇がないのでヴァカンスには行けない。現在の非現実な状況の仮定。)
Si j’avais été libre, je serais parti en vacances.
暇があったならヴァカンスに行ったことだろうに。
(実際には暇がなかったので、ヴァカンスには行けなかった。過去の非現実な状況の仮定。)
*過去の事実に反する仮定をし,その結果としての現在の非現実の推測を示す場合は,条件節には直説法大過去を使い、帰結節には条件法現在を使う。
例:Si je n'avais pas rencontré Pierre, je ne serais pas aussi heureuse.
ピエールに出会っていなかったら、わたしは今こんなに幸せではなかったでしょう。
*条件法過去を使って後悔や無念を示す用法もある.
例:J'aurais voulu visiter le Mont Saint-Michel pendant mon voyage en France.
フランス旅行中にモンサンミシェルへ行ければよかったけどなあ。
J’aurais dû étudier le français plus sérieusement avant de partir.
出発前にもっと真面目にフランス語を勉強しておくべきたっだなあ。